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2024.07.11

研究成果

寺崎達也先生の論文が Leukemia 誌 に掲載されました!

全ゲノムCRISPR/Cas9スクリーニングを用いて、XPO1阻害剤(selinexor, 日本では未承認。米国では再発難治多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対してFDA承認)の感受性を左右する因子としてDDX19 パラログ遺伝子を同定しました。DDX19パラログ (DDX19A と DDX19B) は、抗アポトーシス因子であるMCL1のmRNAの核外輸送に重要であり、DDX19A/Bのどちらか一方の阻害では白血病細胞はアポトーシスを起こしませんが、selinexor投与とDDX19A/Bどちらか一方の阻害、もしくはDDX19A/Bの両方を同時に阻害することで、白血病細胞にアポトーシスを誘導します。さらに、T細胞性急性リンパ芽球性白血病 (T-ALL) 細胞株の一群は、DDX19Bを発現しておらず、selinexorの感受性が非常に高いことがわかりました。T-ALLの一部は現在の治療に対して難治性の場合があるので、DDX19Bの発現が低いT-ALLに対しては、selinexorの効果が期待できることが示唆されます。また、DDX19を標的とした薬剤を開発できれば、mRNAの核外輸送阻害といういままでにない機序で作用する抗白血病薬・抗がん薬の開発に繋がる可能性があります。論文はここからアクセスできます (https://rdcu.be/dNofH)。