MESSAGEメッセージ

患者さんに最も適したがんプレシジョン医療の実践を目指しています。

近年の科学技術の進歩、なかでもゲノム解析技術の飛躍的な進歩により、疾病の発症・進行に関連したより多くのデータが蓄積し、「プレシジョン医療」という言葉が盛んに使われるようになりました。プレシジョン医療学とは、ゲノム、各種検査結果(血液検査、画像検査)、腸内細菌叢、生活習慣、居住環境等に関わる客観的なデータを総合的に評価し、患者さんに最も適した治療法、予防法を実践・研究する医学です。また、既存の臓器別に分類された臨床医学の範疇にとどまらず、客観的なデータをもとに、俯瞰的立場から病態を解析することで、さまざまな臨床分野との架け橋となる役目も担っています。

当分野は、2020年3月に臨床医学部門内科学講座の一分野として新設されました。プレシジョン医療学の対象は医学全体にわたりますが、まずは「がんプレシジョン医療」の臨床、教育、研究の基盤をつくり、将来的には、生活習慣病等の他分野へと学問を発展させていけたらと考えております。私たちは、がんプレシジョン医療の実践にむけて「がんのheterogeneityの解明と、それを克服するための新たな治療法の開発」、「個別ゲノム情報に基づいたがん予防法の確立」、「新規がん治療薬へのアクセスを可能とする臨床体系の構築」を講座の三大テーマとして掲げております。がん研究に興味のある医師、研究者、学生の方々はどうぞ気軽に研究室にお立ち寄りください。

九州大学大学院医学研究院
プレシジョン医療学分野 教授前田 高宏